皆さんこんにちは
春建の更新担当の中西です
~規格~
ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)は、セメント・けい砂・生石灰などを原料とし、高温高圧のオートクレーブ養生によって製造される軽量で高性能な建築資材です。主に外壁、間仕切壁、床、屋根などに使用され、耐火・断熱・遮音性に優れるのが特長です。
目次
1. 規格が必要な理由とは?
ALCパネルは高性能な素材ですが、寸法精度や強度、施工手順を守らなければ本来の性能が発揮できません。そのため、全国で共通の基準が定められており、これに則った製品・工事が求められます。
規格の目的は次の3つです
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安全性の確保(耐震・耐火性)
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施工品質の均一化
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長期的な耐久性の維持
2. 製品規格のポイント
■ 寸法と分類
分類 | 主な用途 | 厚さ(mm) | 幅(mm) | 長さ(mm) |
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厚形パネル | 外壁・床・屋根 | 75〜200 | 約600〜606 | 最大6000程度 |
薄形パネル | 内壁・軽量建物外壁 | 35〜75 | 約600 | 1800〜3000程度 |
※長さや厚みはメーカーによって若干のバリエーションがあります。
■ 性能規格
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圧縮強度:最低でも3.0N/mm²以上
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密度:450〜550kg/m³(軽量)
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乾燥収縮率:0.05%以下
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不燃性:国土交通省の不燃材料として認定
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断熱性・遮音性:気泡構造により高性能
→ これらの数値は、建物の用途や部位に応じて使い分ける基準となります。
3. 施工規格の要点
■ 取付方法の分類
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縦壁ロッキング構法
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フットプレート構法
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サンドイッチ構法(屋根・床)
→ パネルの動きを吸収する構法が主流で、地震や熱伸縮に対応。
■ 施工におけるチェックポイント
工程 | 規格・注意点 |
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アンカー設置 | 所定の引抜強度、正しい芯出しと深さ |
パネル吊り込み | 水平垂直の精度、仮止め後の微調整 |
目地処理 | シーリング厚さ、接着強度、防水試験対応 |
仕上塗装 | 下塗り・中塗り・上塗りの乾燥時間厳守 |
→ これらはJASS21や公共工事仕様書に基づいて運用されることが多く、現場での標準化が求められます。
4. 規格を守ることの実務的メリット
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クレーム削減:雨漏り・パネル割れ・剥離などの事故防止
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保険・保証対応:施工証明と品質報告により、リスクヘッジ
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職人教育の効率化:標準仕様に基づくマニュアル指導が可能
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メーカーからの支援も受けやすい
→ 規格遵守は「信頼される工事業者」の証明となります。
「自由な施工」ではなく「正しい施工」こそが評価される時代
ALC工事は高機能建材を使うからこそ、正確な製品理解と規格に基づいた丁寧な施工が求められます。設計通りの性能を引き出し、長く安心して使ってもらうために、施工規格を守ることが技術者の責任です。